沖縄事業所「今ある幸せに感謝の日々」

沖縄県那覇市・S.Tさん(67歳)


頸部脊柱管狭窄症、糖尿病性神経症等で四肢に機能障害を持ち在宅マッサージを受けておられるTさん。居間には『風にそよぎ、どの花も美しく舞っている。私もそんな人生を歩みたい』と書かれた短冊が掛けられています。この短冊に込められた、Tさんの思いは計り知れない事だと思います。

Tさんは4歳で父親を亡くし、戦後の貧しさから11歳で子守りとして奉公に出されました。それから重度のアルコール依存症で心身を侵された夫を看取るまで、苦労の連続だったといいます。子供を育て、夫を支えながら、シートやソファーのカバーの縫製業を長年営んでいたTさんは、2000年沖縄サミットで、7カ国首相が囲んだテーブルクロスの作製依頼を受け、お一人で手がけられました。「あの頃までは、痛みをこらえて頑張ることができた。重い布や鋏を持ち続けたからね、今では身体がいうことをきかなくなってしまったけど、じっとしているのは性に合わない。出来ることならまた働きたい」と微笑みます。

そんなTさんの爪先は、いつもきれいに手入れされており、苦労を感じさせません。幼いころ、畑仕事で真っ黒にひび割れた指先に、Tさんのお母様が『てぃんさぐぬ花』(鳳仙花)をつぶし、シークァーサー(ヒラミレモン)の絞り汁をまぜて爪に塗ってくれたそうです。桑の葉で巻き、しばらくすると鮮やかな色に染まったといいます。今でもマニュキュアを塗ると、母を想い出すのだと涙を浮かべられました。11歳までの母親との暮らしの中で聞いた星の話、地下に根を張りまっすぐ立っている木々の話など、母親の教えが心に沁みているそうです。

ディナーテーブル
辛いことや、苦しいことばかり口にしても、何も始まらない。贅沢は出来ないが、子供や孫が健康で、それなりの暮らしが出来る。すばらしい制度を利用して、マッサージを受けることも出来る。草花を見ても、星を見ても、体が痛く眠れぬ夜も、今ある幸せに感謝の日々だといいます。
 すべてを受け入れ、1日1日を丁寧に過ごしておられるTさんのお宅を訪問し、お話を伺うたび、多くのことを学ばせていただいております。仕事を通して、素晴らしい感動を頂ける人生の先輩方との出会いに私達も感謝です。