福岡事業所「やさしさと緑の風につつまれて」

福岡県・特別養護老人ホーム歴史の里


 玄海灘を見渡す小高い山の中腹に静かにたたずむ特別養護老人ホーム“歴史の里”。明るい光が差し込む窓辺には桜の木が枝を伸ばし、裏の雑木林には小鳥がさえずり自然の息吹が感じられます。
歴史の里の入所者の皆様は常に介護を必要とする方です。身体は思うようにならなくても自宅にいるように、自分らしく快適に過ごしていただけるようにと職員の皆様による様々な試みがなされています。

 天気の良い日は外に出て、四季折々の自然に触れたり、毎月のお誕生会、定期的に行われる料理クラブやお茶クラブの運営等、入所者の皆様の気持ちが満たされるようにと考えられています。身体の機能を落とさないようにすることも大切にされていて、リハビリの指導をされている様子も見られます。
ふれあいと歴史の里の出会いも「入所者の皆様にとって、もっとできることはないだろうか?より良いことはないだろうか?」という看護師・林さんの熱い想いがきっかけでした。「マッサージで循環改善をし、関節を動かし拘縮を防ぐことで、着替えやオムツ交換がスムーズになるのではないか?」「ほとんどの時間を施設内で過ごす入所者の皆様にとって、外部からのマッサージ師の訪問で外の空気を運び込むのは良いのでは?」「何よりスキンシップを取ることで精神的にも良いのでは」と考えられました。

 歴史の里では週2回、嘱託医の先生の診察日がありますが、診察の必要の無い方も先生に触れてもらうことを求められ、先生が身体に触れてくださると安心されるそうです。マッサージ師が来るのも楽しみにされていて、看護師さんに訪問日を確認されているそうです。“自分の為に治療をしてもらっている”と待ち遠しく思われているのでしょう。気分がすぐれず、マッサージを受け入れてもらえない日もあります。自分の身体が思うように動かない辛さ、寂しさは計り知れませんが、看護師の方にアドバイスをいただきながら努力しています。

 クモ膜下出血の後遺症で訪問当初は全く言葉も出ずに、反応の無かった恵子さん。最近はマッサージ師の問いかけに答えてくださったり、起立訓練の時には一緒に数をかぞえてくださったりと表情も穏やかで、うっすらと微笑んでくださることもあります。昔から映画がお好きだったそうで、今もお部屋でオードリー・ヘップバーンの洋画を楽しまれています。離れて暮らしている家族にとっても心地良い時間を過ごしてもらうことはうれしいことだろうと思います。

施設長の足立さんは「心のふれあいを大切にし、長年、社会に貢献してきたみなさんの長寿を誰もが喜ぶことのできる世の中にしたい。生涯を通じて敬愛され、生きがいを持てるように、安らかな生活が保障されるように」と願われています。
2005年の介護保険法改正に伴い、特養入所者の食事代と居住費が全額自己負担になり、入所者の皆様や施設の経営を圧迫して、今後のご苦労は尽きないことだと思いますが、歴史の里から見上げる空の青さ、見下ろす海の美しさのように癒されて、気持ちの通い合う故郷のような施設であって欲しいと思います。