札幌事業所「俳句のとりこです」 

北海道札幌市 N・Sさん(76歳)


昭和20年頃、勤め先の炭鉱の俳句クラブに入ったSさんは、俳句のとりこになってしまい、以来、「S啼渉」と言う俳号で俳句を詠み続けていらっしゃいます。
奥様と散歩している時に見つけた池に浮かぶアメンボや空に浮かぶ雲など、日常の何気ない風景を見ている時にパッと句が閃くそうで、その豊かな感性に奥様も感心されるそうです。
思わず微笑んでしまうような温かい句は、そのままSさんの人柄を表していて、俳句のことを伺うと、少し照れくさそうな、とても優しく温かい笑顔でお話して下さいました。
 平成5年に脳梗塞を発症されてからは下肢が不自由になり、外出する機会はほとんどなくなってしまいましたが、今でも俳句雑誌に毎月七句もの句を投稿されているそうです。
 毎年開催されている「NHK全国俳句大会」では、4年連続入選されるほどの実力の持ち主で、お部屋の中には所狭しと、様々な盾や賞状が並んでいます。
 ご病気になられてからは、句の中に「車椅子」という言葉が多く入るようになったそうですが、その情景が浮かんでくるような温かい句は変わらないままです。

車椅子 押されて温し 紅葉晴

 今は上肢にも障害がある為、奥様が代筆をされています。「それが面倒で」と言いながらも、Sさんが詠まれた句を紹介して下さる奥様のお顔はとても嬉しそうです。
 積極的にリハビリを受けられているSさん、まだまだ厳しい冬は続きますが、春には外に出られて、あちこちに芽吹く緑を題材に温かい句を沢山詠んで頂きたいと思います。
 最後にSさんのご自宅に掛けられている数多くの短冊の中から、施術者が大好きな句を一句。

鯉に鯉 添い居てまぶし 秋の暮