宇都宮事業所「目標は海外旅行」

栃木県宇都宮市 H・Mさん(72歳)


 Mさんは、宇都宮のデパートの創業からデパートがなくなるまで、まさにデパートと共に働かれてきました。職場では、年下の人と接することが多く、そのためか、若い人と話すことは今でも楽しいものであるし、若い友人も多いとのことです。

 そんなMさんは、大の海外旅行好き。これまでに、アフリカ・南米大陸以外の大陸はすべて旅行されたそうです。
Mさんの初めての旅行は、ニューヨーク。それもツアーではなく、たった一人で! 知人に「ちょっと用があって」行かれたそうですが、やはり不安だったそうです。4回もある乗り継ぎ。JFK空港では、荷物がいつまでたっても出てこなくて、思い切って現地の男性に尋ねて助けてもらったり… 。

 Mさんにとって旅先での一番の楽しみは、食事。フランスのアルザス地方のワイン、ドイツの丸いパン、もちろんビールも。台湾の蟹や海老の小龍包、スペインの小さな町で食べたパエリアなどなど。
 日本人向けガイドブックには載らない、現地の人が行くお店に行けば、間違いなくおいしいものが食べられるので、現地の方たちとコミュニケーションをとって、教えてもらうのだそうです。そして、そういう過程もまた楽しいのだそうです。

 Mさんは旅行以外にも活動的です。デパートを定年退職されたMさんは、退職して1年目、仕事に行く必要がなくなり、「やることがない。どうしよう」という不安にかられます。近所のショッピングモールにとりあえず行く日々…。
 徐々に目標をたてることができるようになり、ヘルパーの養成講座を受講することにしました。勉強は大変だったそうですが、同じ受講生の人たちと励ましあって、無事、資格を取りました。
しかし、さてこれからという時に、Mさんは脳梗塞で倒れてしまいます。ですが、Mさんの活動的な個性が発揮されるのはここからも同じです。

旅行鞄
 リハビリはとても苦しいものでした。リハビリセンターの長い階段を上るなど、中には泣き出してしまう男性もいたくらいに大変なものだったそうです。しかしここでもMさんはリハビリに励む仲間たちと励まし合って頑張りました。
 今でも左手が上手く動かせず、料理がちゃんと出来なくて困ることも多いし、日常におけるさまざまなことが簡単にできないので大変だと言っておられますが、毎日欠かさず体操をするなど、Mさんはいつも頑張っています。

 ある日、施術中に旅行の話で盛り上がった後、「こんなものがあるの」と、車椅子でも行ける海外ツアーのパンフレットを見せてくださいました。
「普通のツアーより高めなんだけど。行けるかな? 行きたいねえ」
 リハビリの病院で同室になった方々とは今でも交流があり、「みんなで海外に行くのが目標」と言うMさんの笑顔が印象的でした。
 Mさん、きっと行けますよ。そしてまた旅の話を聞かせてください。