福岡事業所「はたちの誓い「感謝を忘れない」」

福岡県福岡市 S・Kさん(20歳、脳性麻痺)


 「今日は、私たちの成人を祝う会に沢山集まってくださってありがとうございます。とてもうれしいです」
今津特別支援学校卒業生の二十歳を祝う会で「成人の誓い」を読み上げるSさん。傍らでお母様がその言葉をかみしめるように復唱されています。
 Sさんが生まれて今日までの20年…。長かったようで、とても早かったような気がします。脳性麻痺でこの世に生を受け、赤ちゃんの頃は眠りの浅い子で、お母様は一日中だっこであやす大変な日々が続いたそうです。幼稚園、養護学校、お母様と二人の世界から少しずつ色々な人との関わり合いができてきました。

 ふれあい在宅マッサージとの出会いは、Sさんが13歳(中二)の頃でした。思春期を迎え、強い筋緊張と脊椎の激しい側湾による腰痛に悩まされていた娘に、「少しでも心地よい時間を過ごさせてあげたい」というお母様の願いからでした。放課後のSさんの自宅には、介護ヘルパーさん、入浴介助、マッサージ…色々な人が訪問し、明るい笑い声が聞こえていました。お母様も少しだけ自分の時間が持てるようになり、ホームヘルパーの仕事をするようになりました。
 Sさんも養護学校での生活で先生や友達とふれ合い、笑ったり、泣いたり、喜んだりしながら成長しました。自分の思いをしっかり相手に伝え、人を思いやることの大切さを知りました。
 
 養護学校を卒業して、今は「たんぽぽ」という作業所に毎日通っています。養護学校時代に習った「紙すき」の技術でハガキやぽち袋等を作り、販売に出かけることもあります。実は「紙すき」はあまり好きな作業ではなかったのですが、今はやりがいのある楽しい仕事として一生懸命に取り組んでいます。
作業所では気の合う仲間もでき、休日には天神に出かけたり、焼肉を食べに行ったりと、同世代での楽しい時間を過ごしています。

はがき

 お母様はヘルパーの仕事をしながら勉強して、介護福祉士の資格を取りました。Sさんと過ごす日々の中で身に着けた介助法や、弱い立場の人の気持ちを理解しようとする人柄から、お母様を待っている利用者さんもたくさんいるようです。
Sさんの「成人の誓い」は、「感謝を忘れない」です。どんな時も見守ってくれる家族、先生、友達、ヘルパーさん、装具の先生、マッサージの先生…みんなに感謝です。
 将来はケアホームに入って、友達と協力し合って暮らしたいという思いがあるので、常に感謝の気持ちを相手に伝えられるようにしたいそうです。
 Sさんとお母様、一本の幹から枝を伸ばし、光を集めて成長していく樹のように、二人の世界はこれからもどんどん広がっていくことでしょう。