千葉事業所「ある患者様との出会い」

 私が担当するALS(筋萎縮性側索硬化症)患者様(ここではA子様)との間に起こったことです。
 出会ったときには、すでに首と右手以外は動かず、会話をすることだけしかできませんでした。今ではかろうじて首と右手が動かせるくらい。

 私はA子様を週2回担当させていただいております。普通にコミュニケーションを取りながら、施術していました。A子様はとにかく会話が好きで、マッサージ中は基本的におしゃべりをしながらって感じでした。あるとき、壁に貼り紙があることに気づきました。そこにはA4用紙サイズの紙に「私は人口呼吸器をつけません」 本人の名前、息子様の名前とそれぞれの印鑑がありました。A子様は常々「人工呼吸器をつけてまで生きるのは嫌だ」とおっしゃっていました。その事を紙にしたため、貼り出したことに驚きを隠せませんでした。

 しかし、A子様は自分の病気と向き合い、命と向き合い、すべてを受け入れた結果だと思います。そして、その事を受け入れたA子様のご家族の気持ちを思うと涙が出てきてしまいました。

千葉事業所 渡邉 恭子

涙のイラスト

 A子様はそんな私を見てビックリされましたが、A子様も泣き出してしまいました。でも、その時想いました。A子様は今まで思いっきり泣けなかったんだなと。そして、私はやっと患者様と正面から向き合えたんだなと。今まではそこまで感情を入れて接していなかったけど、でも違うんだなって。その患者様と心と心で会話できたとても良い機会をもらえました。
 最後に、生まれ変わったら何したい?って聞いたら「2代目の歌舞伎役者を見てみたい」と言っていました。
お互いに夢を本音で語り合える、そんな大切な患者様との出会いでした。