高知事業所「僕と患者様と命の必然」

 人命救助は私たちの使命である。
 いつもの訪問日、駐車するため庭に入る。庭ではT様が息子様やヘルパー様とお話をしながら日向ぼっこをされている様子が伺えた。ヘルパー様の「マッサージさんが来たから部屋に入ろう」という声が聞こえる。続けて聞こえた声は先程までとは毛色が異なる叫び声だった。「様子がおかしい、救急車を呼んで!」

 慌てて駆け寄りT様を見ると顔面蒼白、白目を向いている。頬を叩いても、呼び掛けても反応がなく呼吸音を確認するも聞こえない。気道確保と同時にヘルパー様が心臓マッサージを、私は数を数えながら人工呼吸を行う。3,4回繰り返した時、小さなうめき声が聞こえた。反応があったことに安堵し、救急車の到着時間を確認していると、再びT様の呼吸、意識がなくなっている。再度、心臓マッサージと人工呼吸を繰り返し、今度は気道確保をし続け、ご本人の「もう大丈夫!」という声を聞き落ち着く。

 救急隊員への説明、救急車の見送りをし次の訪問先へ向かう。その後、当日のうちに元気を取り戻し自宅に帰られたことを知り、ようやく心から安堵する。座って寝られていた際に落ちた舌が気道を塞ぎ、頭が首の頚動脈を圧迫したことによることが原因ではないかとのことだった。

ハートマーク

 後日の訪問時、T様より「柏井さんは命の恩人」との言葉をいただくが、人命救助は恩を受けるものでも与えるものでもなく、私たちの使命だと考える。「人が人を救う」ことは医療機関現場や高齢者施設等では当然の日常的行為であろう。自分たちもそれを担っていることを常に意識すると同時に日頃の訓練や修練を重ねることの重要さを改めて感じている。

高知事業所 柏井 隆宏