奈良事業所「笑顔」

「良かったでした」。私の担当の患者様、Aくんのお母さんの喜びの言葉です。満面の笑みでこの言葉を頂くたびに凄く嬉しい気持ちになります。
 Aくんはまだ20代。 バイク事故に合い脳挫傷の為、寝たきりの状態になってしまいました。初めて訪問させて頂いたのは、事故から1年後で、ご両親から少しでも身体を和らげて楽にしてやって欲しいとの強いご希望がありました。
 始めは関節の拘縮が強くADL(日常生活動作)にもかなり苦労されているようだったので、担当メンバーで少しでも改善させる為にどうするかの相談や手技の擦り合わせを頻繁に行いました。
 その甲斐もあってか、徐々に関節の可動域に改善が見られるようになり、更衣やオムツ交換等を行うのが楽になったと喜んで頂けました。
 その時にお母さんから「フレアスさんにお願いして良かったでした」の言葉を頂きました。それから息子さんの事で嬉しい変化がある度に「良かったでした」の言葉を頂きました。
そして昨年の12月、すごく嬉しい変化が見られました。

 その日もいつもと同じようにお母さんに息子さんのお話しを伺いながら施術を行っていて、息子さんはお笑いが好きでドリフもよく見ていたと聞いたので、息子さんの耳元でドリフのお笑いエピソードを話しました。
 今まで何度話しかけても特に反応がなかっただけに私自身も驚いたのですが、その話をした直後、少し口角が上がり笑っているような表情を見せて頂きました。そしてお母さんからも満面の笑みで「今日も良かったでした」の言葉を頂きました。その日は「今度また、面白いエピソード持って来るからね」と伝えて部屋を後にしました。
 次はどんな話をすればまた笑ってくれるのかと少し悩みましたが、息子さんが好きなバイクネタで勝負する事に決めました。

オートバイのイラスト

 昔のスクーター、ラッタッターの話です。内容については割愛させていただきますが、思い切って話した直後、鼻をカフォッと鳴らし前回より口角が上がり口を開いて笑われました。
お母さんも「うわぁ〜笑ってるぅ、すごい〜」と言いながら携帯で写真を何枚も撮られていました。
 その時、改めて思いました。ほんの少しの変化でもこんなに喜んで頂けるんだと・・・
 そしてお母さんが一言
「今までちゃんと聞いてくれてたんやね、A。ありがとう」

奈良 近田 卓生