福井事業所「心に残る患者様」

「とにかく早く、なるべく早く来ていただけませんか!」。私が入社して2ヶ月経たない頃の話です。
 フレアスへ入社と同時に地元を離れ、福井事業所へやって来ました。初めての土地・初めての在宅の現場で、ただがむしゃらに毎日が過ぎていきました。そんな時に、お一人の患者様との出会いがありました。

 その方は、癌の末期で全身の痛みがひどく、強い痛み止めで意識は朦朧とし、毎晩娘様が全身をさすってマッサージしケアしている状態でした。
とにかく早く来れませんか?との事で私がお伺いすることとなりました。
初めての初療ということで不安はありつつも、その方についての情報を読み込む等、事前に準備をしっかりと行い、気合いが入っていました。

 患者様のお宅にはお昼すぎにお伺いして、お部屋に入った瞬間、目に飛び込んできたのが、酸素マスクに点滴、痩せ細った身体。初めて癌の患者様を診る私からでも明らかに、いつ何があってもおかしくはないなという印象でした。
 痩せて、筋肉も少ない足をマッサージし始め、強さをお聞きすると、小さく頷きながらかすかな声で「気持ち良い」と仰ってくださいました。マッサージを終え、次の日程をお伝えして娘様と色々とお話しし、その日は失礼しました。
 帰りの車中では、もっとあんな事できたのでは?とか、こんな言葉をかけてあげれば良かったなぁ等々反省点が多々ありました。

月のイラスト
 その患者様は、2度目の訪問をする事なくお亡くなりになりました。担当の患者様の死というものが、なかなか受け入れられずショックでしたが、娘様から「マッサージした夜だけは何も言わずにグッスリと寝ていました。本当にありがとうございました」とお電話頂き、この言葉に救われました。と同時に在宅の現場を改めて知ることができました。色々と反省点があり、凹んでいましたが、これで良かったんだと嬉しくも思えたのです。

 初めての患者様、これから先ずっと自分にとって心に残る出来事でした。

福井事業所 中村 海人