練馬事業所『笑顔の連鎖』

 A様は、84歳男性、施設入居者。練馬事業所の記念すべき一人目の患者様です。認知症がかなり進行しており、話しかけてもこちらの言葉を理解せず、言葉は発するものの会話が成り立つことはありません。
施術は、ベッドに寝ているA様を、トントン、と起こして挨拶をするところから始まります。私は何とか意思疎通を図ろうと色々話しかけてみましたが、反応が返ってこないか、ちぐはぐな答えが返ってくるかのどちらかです。私はとにかく笑顔で話しかけ、何か伝わればいいなと思いながら施術に当たっていきました。

 ある日、いつものようにA様を起こして挨拶をすると「あー見たことある顔だねぇ!」と、ニコニコ〜っと満面の笑みを浮かべてくださいました。その日から、それが毎回のこととなりました。おそらく、誰が何をしに来たのかはわからないけれど、いつもこの時間にこんな顔の人が笑って話しかけてくる、ということが身体に染み付いてきたのでしょうか。それからも、言葉のやり取りは上手くはいかないものの、表情など非言語的な部分で何かしらのキャッチボールができているのかなと感じることはあります。

笑顔のお花のイラスト
 
 A様がマッサージをどのように感じてくださっているのか正直わかりませんが、今でも私のことを満面の笑みで迎えてくれ、その笑顔を見て私も笑顔になることができています。
 在宅の患者様の中には、言葉でのコミュニケーションが難しい方、表情が乏しくなってしまった方が決して少なくないと思いますが、笑顔になっている時というのは楽しい、嬉しいなどプラスの感情なはずです。
笑顔を引き出せるような施術者でありたい、と思わせてくれた患者様との出会いでした。

群馬事業所 S・Oさん